Bonaプライマーの違いについて

塗装の経験者であれば「プライマー」という言葉を聞いた事がある人も多いと思います。プライマーと聞くと、密着性向上のために使用すると思われがちですが、英語の「Primer」には、密着性を高めることともうひとつ、“最初に塗るもの”という意味があります。無塗装の新しいフローリングや、素地までサンディングされたフローリングなど、何も塗装されていない木の素地に一番最初に塗る下塗り剤の事を「プライマー」と呼びます。

Bona社のプライマーには、下塗り剤としての用途だけでなく、カラーコントロールという特徴があり、使用するプライマーによって最終的な仕上がりが変わります。ルックスを変え、フローリングを魅力的に演出してくれる効果があります。

上記の写真は、Bonaの代表的なプライマーシリーズ。グローバル市場では5製品がラインナップされていますが、日本では現在Bonaホワイト、Bonaクラシック、Bonaアンバーと上記の3製品を販売しています。これら3種類のプライマーを使い分けるだけで、かんたんにカラーコントロールができます。

Bonaホワイト

Bonaホワイトは、ホワイトウォッシュのようにフローリングを北欧風ホワイトウォッシュルックに仕上げる1液型の水性プライマーです。家具やダイニングテーブルなどに合わせて、ホワイトウォッシュスタイルを演出してくれます。
塗布回数によって白さの調整が可能で、無塗装のような自然な風合いに仕上げたい場合は木の素地にBonaホワイト×1回塗りした後、トップコートを塗って仕上げます。より白さを強調したい場合には、Bonaホワイト×2~3回塗り、仕上げにはトップコートを塗布して下さい。
1回塗りと2回塗りの仕上がりの違いは、以下の写真の通りです。2回塗ると白さが際立ってきます。3回塗るとさらに白っぽく仕上がります。

フローリングは樹種の違いによっても差がありますが、クリアー仕上げといっても、塗料を塗ると木自体の色合いが強調され、特にフローリングによく使用されているオークやパインのような樹種は、ライトブラウンカラーの仕上がりになってしまいます。木の素地よりも確実に濃い色合いに仕上がってしまいますが、Bonaホワイトを1回塗布してから仕上げると、かなり木の素地感に近い仕上がりになります。近年ナチュラルルックが流行ですので、非常に人気のある仕上げ方法のひとつです。

Bonaアンバー

Bonaアンバーは、水性塗料でありながら、まるで油性塗料を塗布したような飴色を演出し、木の風合いを強調した温かみのある仕上がり、木本来の風合いを際立たせてくれる1液型水性ポリウレタンプライマーです。
近年、VOC(揮発性有機化合物)による人体への悪影響、環境問題への配慮から、屋内の作業において油性塗料の使用率は下がっており、水性塗料が積極的に使われてきています。フローリング用途の一般的な水性塗料は白っぽく仕上がることが多く、昔のイメージで油性塗料を塗った飴色がかった仕上がりを好まれるお客様もいまだにたくさんいらっしゃいます。「健康や環境のことは理解できるし、できれば水性を使いたいけど、油性の仕上がりの方が好きだから水性は使いたくない。」こういうお客様に最適なのが、Bonaアンバーです。
Bonaアンバーは2回塗りが標準です。Bonaアンバーを2回塗り、その後に各種トップコートで仕上げて下さい。

上記写真のA、B、Cの違いは次の通りです。

A: 一般的な水性ウレタン塗料の仕上がり

B: 下塗りにBonaアンバーを使用し水性ウレタン塗料で仕上

C: 一般的な油性ウレタン塗料の仕上がり

Bonaアンバーを下塗りに使用すると、一般的な水性ウレタン塗料の仕上がりとは大きく風合いが変わり、まるで油性ウレタンで仕上げたような飴色の仕上がりになります。水性塗料の若干明るめの仕上がりを好まない場合、油性塗料の飴色の仕上がりを求める場合はBonaアンバーを下塗りに使用して仕上げて下さい。

Bonaクラシック

Bonaクラシックはスタンダードな仕上がりの1液型水性アクリルプライマーです。水性塗料の特長でもある、明るく白っぽい仕上がりを演出します。素地にBonaクラシック×1回、その後各種トップコートで仕上げて下さい。Bonaクラシックはアクリル樹脂で柔軟性にすぐれ、床暖房にも最適です。サイドボンディングのリスクも軽減します。速乾性ですし、肉持ちにもすぐれ、プライマーの中では一番安価なのでとても使いやすいプライマーですが、ひとつだけ注意が必要です。Bonaクラシックの乾燥直後に毛羽取りのためメッシュ掛けを行うと、メッシュが目詰まりしてしまいます。せっかくのプライマーの塗膜も必要以上に削り取ったり傷つけてしまうので、メッシュ掛けは出来ません。①Bonaスクラッドパッドで研磨してメッシュ掛けの代わりにするか、②毛羽取りの研磨は行わず、トップコートを1層塗り重ねてから研磨、のどちらかの方法で仕上げていきます。②を選択した場合、サンディング作業はBonaシステムで行い、従来型のサンディングの仕上がり面よりもキレイに仕上げて毛羽立ちそのものを少なくする必要があります。また、毛羽取りをせずにプライマー+トップコートと2回塗装するので、トップコートを塗った後の研磨作業はしっかりと丁寧に行い、確実に毛羽立ちを除去する必要があります。

従来は、クリア仕上げというと1種類しかなく、水性塗料で仕上げると、上記写真のBonaクラシックのような若干明るめの仕上がり、油性塗料で仕上げると、上記写真のBonaアンバーのような飴色のような仕上がりになる、このどちらかしか選択出来ませんでした。
色合いを変えたい場合は、ステインなどの着色作業が必要となり工程も増え、工期も長くなり、コストも高くなっていましたが、Bonaプライマーを使用すればプライマーを変えるだけで、通常のクリアー塗装と同じ工程で、まったく違った色合いに仕上げられます。
かんたんな方法で全然違ったルックスをお客様に提案できるので、よりお客様のニーズにあった仕上がりを提供できます。