フローリングの種類

国内の使用量で95%以上を占めると言われる家庭用フローリングは、世界においては一般的なフローリングではありません。辞書で「フローリング」と調べると「木の床」と表示されますが、英語の「flooring」は単なる「床」です。例えば、畳のことは英語ではタタミ・フローリング(Tatami flooring)、カーペットのことはカーペット・フローリング(Carpet flooring)と呼びます。フローリング=flooringではないということです。日本語のフローリングには、無垢フローリング(Solid wood flooring)や複合フローリング(Multilayer wood flooring)3層フローリング(3-layer wood flooring)だけではなく、木質系フロア(Thin veneer flooring)やカラーフロア(Digital print flooring)など、Wood=木という単語が含まれないものも含まれています。日本語のフローリングには、性格の違うものが混じっていますので、まずはこの区別や特長を正しく知ることが大切です。

国内で一般的に広く普及している家庭用フローリングは、室内で靴を履かない文化である日本と韓国でこそ一般的ですが、他の大多数の国々では一般的な床材ではありません。正確には、家庭用フローリングも積層フローリングの一種ですが、海外で一般的に使用される積層フローリングとは決定的な違いがあります。

無垢フローリング、積層フローリング、集成フローリングは、その工法は違っても大きい意味での特長やメンテナンス方法はほぼ同じであり、同じ「フローリング」という文字がついていても、家庭用フローリングとは大きく異なります。

しかし国内では、そのどちらをも称して「フローリング」と呼ぶことが多いため、その言葉だけをとらえ、違ったフローリングの話をしているにも関わらず、間違った判断をしたり、間違ったメンテナンス方法をとってしまう場合もありますので、注意が必要です。

単層フローリングと複合フローリング
フローリングには、大きく分類すると、単層フローリングと複合フローリングがあります。

単層フローリング

無垢フローリング

無垢材を使用した無垢フローリングです。

複合フローリング

複合フローリング

合板の上に木である単板を貼り合わせたもので、複合フローリング、集成フローリング、家庭用フローリングがあります。

フローリングの種類と特長

無垢フローリング(単層フローリング)

デザイン変形しやすいため75mm幅や90mm幅など幅の狭い製品が多く、クラッシックなデザインになりやすい。
加工複合フローリングには、その製造工程に接着という工程があり、構成物の相性や加工に不向きな材種もあります。単層フローリングは、原木からそのまま切り出して作られるため、そのような制限がありません。
変形割れ 乾燥による変形や割れなどの狂いが生じにくい。
寿命研磨をすることによりリフォームが可能で、床材としての寿命が長い。
コスト基本的に高いが、原木の価格に大きく左右される。一番多く原木を使用するため、原木の価格>複合等の加工代であれば無垢材は高く、原木の価格<加工代であれば無垢材の方が安くなる。
コメント日本では無垢神話が強く、無垢フローリング=最高級品のように認識している方が多いが、幅や長さなど、サイズの制約が多いため海外では特に無垢=高級品の認識は見られない。
また、日本では15mm厚の無垢フローリングが主流だが、海外では18mm厚が無垢フローリングの標準サイズ。特に変形しやすい無垢フローリングは、幅と厚みの相関関係に注意を払う必要がある。

複合フローリング

特長合板の台板の上に、コンマ数ミリ~6ミリ厚(ピース・挽材など)の単板を貼り合わせたもの。
加工台板は繊維方向がクロスするように構成され、寸法に狂いが発生しにくい。無垢板に比べ材料の使用効率がすぐれており環境にやさしい。
幅広のフローリングが製造できる。寸法安定性にすぐれているので、床暖房対応製品によく使用される。
変形変形・割れ等の狂いは生じにくい。
しかし台板と単板を糊で接着しているため、何かのトラブルの拍子に単板が剥がれる場合がまれにある。
寿命研磨によるリフォームが可能で、床材としての寿命が長い。※表面化粧板の厚みが4mmあるとサンディングリフォームの観点からは無垢材と同じ
コスト単板の厚みに大きく依存する。表面材に挽材を使用した場合は、表面材が2mm厚以上になることが多く、無垢フローリングと同等程度。表面化粧単板のコストや合板のコストに依存する。
コメント合板には種類が多く、コストや性能に大きな違いがある。合板のグレーディングは各社によって微妙に違うが、弊社ではこのように認識している
 ベスト:カバ100%合板
 高品質:ラーチ合板 カバ/ユーカリ合板 ポプラ/カバ合板
 コスト:ユーカリ/ポプラ合板
 安 価:ユーカリ100%合板 ポプラ100%合板

3層フローリング

特長表面材、芯材、裏材と3層構造のフローリング。
加工表面材、芯材、裏材と3つの材木を組み合わせて製造される。芯材にはパイン材が使用されることが多い。表面材と裏材の木目は同じ方向に、芯材は上下の材と直交する方向に貼る。芯材は板状ではなく、ピアノの鍵盤状になった細いパイン材をヒモでつないだものが主流で、これを表面材や裏材と接着する。
15mm厚のフローリングの場合、表面単板の厚みは3mmか4mmとなる。
変形変形・割れ等の狂いは生じにくい。
寿命研磨によるリフォームが可能で、床材としての寿命が長い。※表面化粧板の厚みが4mmあるとサンディングリフォームの観点からは無垢材と同じ
コスト複合フローリングより高価
コメント近年市場でよく見られる3層フローリングは、4/9/2のように表現される表面材:4mm+心材:9mm+裏材:2mmのものが多い。表面材と裏材の厚みが違うため、特長のひとつである寸法安定性が損なわれる恐れがあるので注意が必要。かつ、表面材にオーク4mm厚の挽材を使用しても、コストダウンのために裏材にはポプラ2mm厚など違う厚みの違う材料を使用する場合も多い。
※これを嫌い、オカベの3層フローリングは4/7/4=表面材:4mm+心材:7mm+裏材:4mm、かつ表面材にも裏材にもオークを採用しています。