フローリングの変形

フローリングは繊細で扱いづらい床材だと思われる方も多いかと思いますが、昔から世界で広く使われてきている、かなり許容範囲の広い床材です。

もともと木には水分が含まれているので、経年変化を除いては、適正な量であれば仮に水を使用しても、変形のリスクを負わずに末長く付き合ってゆくことができます。木は、床材の中ではもっとも寿命の長い床材のひとつですから。

フローリングは無垢・集成・積層を含め、その採取された位置で個別のクセを持っています。

収縮による材の変形

イラストは、収縮による変形パターンですが、このように採取された部位により特性が異なり、一番安定している部位は柾目(まさめ)と呼ばれる部分です。
フローリングは、成形されて製品化されますが、水分が抜け乾燥しすぎた状態や、水分を過剰に含んだ湿度の高い状態が続いた場合に、このクセが顕著に表れます。

特に水分を過剰に含んだ場合、その後に乾燥して水分が抜けた場合でも適正値で安定せず、フローリングに必要な水分まで抜けてしまって変形した状態のままで安定してしまいます。
こういうことから、「木に水を使ってはダメ!」と言われる由縁です。過度の水分による変形の代表的な例としては、次の3つが挙げられます。
・ 樹脂ワックスでメンテナンスされているフローリングフロア上のワックスを除去するために、
  ワックス剥離剤を大量に使用した
・ 化学床と同じ感覚で、洗剤や水を大量に使用して繰り返し床を洗った
・ スラブの乾燥が不十分なまま、上にフローリングを貼ったため、スラブの湿気を含んでしまった。

問題箇所を特定する場合には、注意深く床鳴りの音を聞いてください。
床鳴りの音が高音(キュッキュ・キシキシ等)の場合は、フローリングなど床表面に近い部分に問題がある場合がほとんどです。一方、低音(ギシギシ・メリメリ等)の場合は、床下地が問題があることが多い傾向にあります。

フローリングが膨れあがった例
過度に水分を含んで変形し、フローリングが膨れあがった例

その他変形事例

フローリングを貼る前には、そのフローリングが貼られる現場に何日かフローリングを置いておき、その場所の湿気に慣らしてから貼るのが一般的ですが、最近では空調があるためその慣らし期間をとらずに、すぐに貼ってしまうことも多くなっています。そういうような整った環境においても、収縮による変形や水分を過剰に含んだことによる変形が見られることがあります。

収縮が起きた場合の原因としてあげられるのが人工乾燥の不足です。伸びが起きた場合は湿気に馴染ませる時間が少なかったといえます。特に無垢材にこの兆候は多く見られるので注意が必要です。

縮んでしまったフローリングの例
縮んでしまったフローリングの例