ウレタン仕上剤の種類と光沢

光沢あふれるフロア、シックなマット仕上げ、お好みの色合い、抜群の耐久性など、お客様の様々なニーズに応えるためには、最終仕上げのトップコートにどの仕上剤を使用するかが重要なポイントとなってきます。

Bona社は、1970年代に先駆けて水性仕上剤を市場に導入、今日ではグローバル市場においてマーケットリーダーとして活躍しています。今回は、そのBona社の水性仕上剤の種類とそれらの違いについて紹介します。最終仕上げのトップコートに使用される水性仕上剤は、水性ウレタン塗料です。現在日本市場では、スポーツフロア用を除き、以下の5つの水性ウレタン塗料を販売しています。

製品名
Bonaメガ
Bonaメガナチュラル
BonaメガONE
BonaトラフィックHD
Bonaトラフィックナチュラル

このうち、どの水性ウレタン塗料を使用して仕上げるか、考慮すべきポイントは4つあります。

  1. 歩行量と耐久性(耐摩耗性)
  2. 1液型か2液型
  3. 色合い
  4. 光沢

1.歩行量と耐久性(耐摩耗性)

床を保護するトップコートは、主に人の歩行によって傷ついたり、摩耗していきますので、たくさん人が歩行する場所ほど、耐摩耗性にすぐれた強靭な塗膜が必要となります。つまり、歩行量は塗料を選ぶ際の重要なポイントの1つです。

歩行量は、大きく以下の3つに分類されます。

  • 軽歩行:主に一般住宅用
  • 中歩行:オフィスや店舗など、土足歩行やそれなりの歩行量のある場所
  • 重歩行:空港やショッピングモールなど、たくさんの人が毎日往来する場所

Bonaの製品ラベルでは、下図の赤丸部分に、その製品がどの歩行量に対応した耐久性(耐摩耗性)を持つのかをわかりやすくイラストで示しています。左から順に、足跡が1つだと軽歩行用(住宅用)、2つだと中歩行用、3つだと重歩行用となります。また、耐摩耗性にすぐれた塗料は、耐薬品性にもすぐれています。

2.1液型か2液型

1液型水性ウレタン塗料は、キャップを開けてそのまま塗布できますが、2液型は硬化剤を添加し、主剤と硬化剤を混ぜ合わせてから使用します。

2液型には可使時間があり、硬化剤を混ぜてから可使時間内に使い切る必要があります。塗料が余ったからといって翌日使用するわけにはいきませんので、使用する量だけを混ぜるようにする必要があります。例えば、BonaトラフィックHD、トラフィックナチュラルの可使時間は4時間なので、4時間以内に塗布できる量だけを混ぜ合わせましょう。 以下の写真のように、Bonaの水性ウレタン塗料はキャップの色で1液型か2液型かを判断できます。1液型のキャップはブルー、2液型はグリーンです。グリーンのキャップの2液型は、必ず硬化剤と混ぜ合わせてから塗布してください。硬化剤なしで塗布しても乾燥しますし、一見塗膜が形成されたように見えますが、十分な強度が得られません。かんたんに剥がれたり摩耗してしまいます。パウダリングと言って塗膜が粉状になり、モップで拭いたら全部取れてしまう場合もありますので、硬化剤なしでは塗布しないでください。

Bonaの5つの水性ウレタン塗料のうち、どれが1液型、2液型なのかを見てみましょう。

製品名1液 or 2液耐摩耗性
Bonaメガ1液中歩行用
Bonaメガナチュラル1液中歩行用
BonaメガONE1液中歩行用
BonaトラフィックHD2液重歩行用
Bonaトラフィックナチュラル2液重歩行用

上表から、1液型トップコートは中歩行、2液は重歩行であることがお分かりになると思います。一般的に2液型塗料の方が耐久性が高いと言われますが、Bonaの製品も実際にそのような仕様になっています。

3.色合い

Bonaの水性ウレタン塗料はどれも「クリア」と表記されていますが、微妙に色合いが違います。木はブラウン系の色合いが多く、木味を強調するために、クリアであっても若干茶色味を帯びた塗料が市場でも多く見受けられます。クリア仕上げや、ブラウン系・ブラック系などの濃色で仕上げる場合は問題ありませんが、最近人気が高いホワイトやグレーなどの明るい色合いのフローリングを仕上げる場合は注意が必要です。トップコートに若干とはいえ色がついていると、ステインなどの着色作業で仕上げたカラーが変わってしまいます。その場合は、トップコートには無色透明・無黄変の製品を使用しましょう。BonaメガONE、BonaトラフィックHD、Bonaトラフィックナチュラルの3製品が無色透明・無黄変です。

4.光沢

光沢を測定するには、床表面に一定の角度で一定の強さの光線を照射し、同じ角度で反射された光の量を測定します。この反射光の測定には一般には光沢計と呼ばれる「光沢度計」を使います。光沢は、この光沢計の数値によって定義されていますので、まずは光沢計について説明します。

床の光沢は、一般的に60°で測定したときの値で表されます。JIS規格では、ガラス表面(可視波長全域にわたって屈折率が1.567)を、光沢度100(%)と規定しています。しかし、ガラス表面は湿気などによって侵されやすいため、実際は屈折率1.500付近(光沢度90%)を実際の基準面として使用します。

高光沢=つやあり(全つや)

一般的に、光沢値80〜90をつやあり(全つや)と呼び、測定面にくっきりとした像が映ります。これは、入射光が鏡面反射角度で反射しているためです。人間の目にはピカピカに見えます。

低光沢=つや消し

つやがない面に映る像は、薄くぼんやりします。これは、入射光は鏡面反射角度で反射しているものの、同時に散乱している光もあるためです。

Bona社では、光沢を以下のように定義しています。

光沢値光沢Bonaの名称
80〜90全つやグロス
40〜50半つやシルクマット
20〜30つや消しマット
10〜15全つや消しexマット
6〜8ナチュラルウルトラマット

光沢のある床=高級な床と捉えられる時代もありましたが、全つやの床材は現在、ほとんど市場には流通していません。木の自然な風合いを損ね、冷たい印象、古臭い印象を与えるためでしょうか。床材のほとんどはつや消しです。全つやのトップコートは、現在スポーツフロア以外ではほとんど使用されなくなりました。

昔から塗装の基本として、色合いの濃いものにはつやを上げる、ホワイトのように色合いの薄いものにはつやを下げる、と言われてきました。各光沢の違いによって同じ床材、同じクリア塗装であっても、床材や部屋の印象はガラリと変わります。

グロス
シルクマット
マット
exマット
ナチュラル

光沢が上がるとブラウン系の色合いがより強調されますので、ブラウンやブラックの床にはシルクマットを、ホワイトやグレーの床には、マットやExマット、ナチュラルで仕上げると、よりキレイに見えます。

光沢が上がると冷たく硬い印象を持ち、光沢が下がると温かみや柔らかさを感じると言われます。トップコートの硬さは、光沢によって硬くなったり柔らかくなったりしませんし、塗膜の耐久性は変わりません。

まとめ

Bonaの水性ウレタン塗料にはそれぞれ、以下の光沢のバリエーションがあります。

製品名シルクマットマットexマットナチュラル
Bonaメガ
Bonaメガナチュラル
BonaメガONE
BonaトラフィックHD
Bonaトラフィックナチュラル

このように、製品は5つですが、光沢のバリエーションを加えるとその数は11種類になります。どの塗料で仕上げるか、どの光沢で仕上げるかでフローリングの印象は大きく変わります。それぞれの違いを正しく理解し、ご自身が理想とする仕上がりを得るために、ぜひご活用ください。