自然塗料とウレタン塗料の違い

自然塗料ウレタン塗料は似ても似つかない製品であり、まったく異なった特長を持っています。
自然塗料ウレタン塗料それぞれの特長を理解した上で、施設にあった使い分けをすることが大切です。

フローリング表面の仕上げ方法によって、床仕上げやメンテナンスでの塗料の種類が異なります。

表面仕上げ方法使用する塗料の種類
無塗装・無垢材塗料(樹脂分によって塗膜が形成)
塗料(オイル等油分が含浸)
塗装品UV塗料(工場で塗装する場合に使用)
樹脂ワックス
ウレタン塗料

自然塗料ウレタン塗料とは、無塗装である無垢のフローリング材を現場でフローリングを貼った後に、どちらを使用して仕上げるのかといった場合に比較対照されます。

自然塗料とは、通常鉱物系の顔料と植物油から構成されるものを指し、 ウレタン塗料は、反応硬化型の塗料でウレタン可橋結合により強い塗膜を形成する塗料です。

「自然塗料」「ウレタン塗料」は、同じ塗料で成分が自然に優しいのかウレタンでできているのかの違い、という誤解を生じることがありますが、海外ではもっとシンプルに分かりやすく表記されます。

自然塗料  = Oil(オイル)
ウレタン塗料= Finish(仕上げ用塗料)
自然塗料=オイル イラスト

自然塗料=オイル

ウレタン塗料=フィニッシュ イラスト

ウレタン塗料=フィニッシュ

自然塗料とウレタン塗料それぞれに適した施設

自然塗料(オイル)は木に含浸することで、フローリング表面に色を付けたり、風合いを変えることができます。また引っ掻き傷に強く、スポット補修が簡単にできることや塗膜を形成しないため密着不良のリスクがありません。

ただし、塗膜を形成しないので、堅さと耐摩耗性はフロア(=木の特性)に依存します。簡単にキレイな仕上がりが得られる半面、その後のメンテナンスに大変労力を必要とします。

自然塗料に適した施設

  • 濃いカラーのフローリング
     (傷や汚れがめだちにくいため)
  • 24時間可動施設など、
      塗料の乾燥養生時間が取れない施設
  • 歩行量が少なく、土砂の持ち込みが少ない施設
  • 水分の持ち込みがほとんどない施設
自然塗料に適した施設例

ウレタン塗料(フィニッシュ)は、表面に塗膜を形成し、その塗膜が保護膜となって耐摩耗性を保ちます。耐摩耗性に優れているので、毎日のお掃除やお手入れが簡単で、維持管理するための手間を軽減します。

ウレタン塗料に適した施設

  • 明るい色のフローリング
    (傷や汚れが目立ちやすいため)
  • 歩行量の多い施設
  • スポーツフロア
  • 毎日のお手入れを簡単にしたい施設
ウレタン塗料に適した施設例

また、一旦オイルで仕上げられたフロアは、サンディング(=削り変え作業)を行わない限りは、オイルを塗り続けることでしかメンテナンスはできません。
仕上がった当初はキレイなフロアでも、その後のメンテナンスが行き届かなければ、あっという間に外観が汚く変わってしまうことも珍しくありません。
一方ウレタン塗料は耐久性に優れており、塗布周期はオイルと比較すると長く間隔が開けられますが、定期的なウレタン塗料のコーティング時には塗料の乾燥だけでも3時間かかり、前後の作業や乾燥養生時間を含めると休館日等があった方が望ましいといえます。
最低でも、夜間は閉店していてオープンタイムが8時間以上取れないとウレタン塗料の施工は難しいといえます。(ただし、体育館のような広い面積を塗布する場合は、塗料の乾燥が早過ぎると仕上がりに支障をきたす場合がありますので、もっと塗料のレベリングが進むよう乾燥時間の遅い塗料を一般的には使用します。)

「オイルは自然塗料なので環境に優しい」という声をよく耳にしますが、オイルには多くの溶剤が含まれます。同時に頻繁にメンテナンスを必要とし、そのメンテナンス時に使用するフロアオイルの大半が溶剤で、溶剤を5%しか含まない水性ウレタン塗料と比較した場合に、どちらが環境に優しいのかを一言で言い表すことは、大変難しいと言えます。