フローリングリノベーションの実技セミナーを行いました
令和3年2月25日(木)13時から18時と2月26日(金)10時から15時の2日間に分けて、月刊ビルクリーニングを発行する株式会社クリーンシステム科学研究所様との共催で、フローリングリノベーションの実技セミナーを開催しました。
5社から計5名の方にご参加いただき、初日はフローリングを木の素地までサンディングするサンディング工程と、プライマー塗布までを行いました。
木を素地までサンディングすると、堆積したワックス層や古い塗膜、フローリング表面の傷や染み込んだ汚れ、フローリングの反りなど、美観を落としていた原因がすべてなくなります。粗掛け、中掛け、仕上げ掛けとサンドペーパーの番手を変えながらサンディングすることで、フローリング表面の汚れはすべてなくなり、無塗装の新品のようなフローリングに生まれ変わります。その後、フローリングを保護するために、塗装前のライトサンディングを行い、まずはプライマーを塗ります。ローラーでたっぷりと、1㎡あたり100gを目安に塗布します。
2日目のトレーニングは、仕上げのトップコートとして、水性ウレタン塗料を2回塗布しました。これもプライマーと同じように、ローラーでたっぷりと、1㎡あたり100gを目安に塗布します。
2日間の実技セミナーは、まずは座学にて、パワーポイントを使って作業のポイントを説明し、デモンストレーションをお見せしてから、実際に参加者のみなさんに体験していただく。次の工程に進む前に、また座学で説明してから実技、この流れを繰り返しながら進めていきました。
真っ黒に塗装されていたフローリングが、2日間でクリアーなオークの木目が見えるフローリングに、すごく美しく復元したことは、みなさん一様にびっくりされていました。
仕上げには、半ツヤのシルクマット、つや消しのマット、全つや消しのexマットと、いろいろな光沢のバリエーションを体験していただきました。人間の目の錯覚とは面白いもので、光沢がある床の方が塗膜が厚く、光沢がない床の方が塗膜が薄く見えます。しかし実際に自分たちの手で塗って仕上げていますので、床の光沢と塗膜の厚みには関連性がないこともご理解いただけました。また、光沢がある方が色が濃く、光沢がない方が明るく見えるのも、面白い目の錯覚です。近年は光沢のある床は敬遠されがちで、光沢のない床、ナチュラル感を生かした床の方が人気があることも説明し、みなさん驚くとともに納得されていました。
今回参加された5社のうち、4社はビルメンテナンス業者さんです。フローリング、ハードフロアを問わず、ビルメンテナンス業者さんは、定期清掃で床にワックスを塗り、光沢を上げることに情熱を費やしてらっしゃる方が少なくありません。光沢がある床=清潔な床と光沢神話を信じてらっしゃる方も少なくありません。私自身、床の光沢を否定する気は毛頭ありませんが、近年建築物に使用される床材のほとんどは、つや消しです。本当に床の光沢が市場から求められているのであれば、販売されている床材は、つやありだらけでなければならないと思いますが、現実はまったくの逆で、光沢のある床材は一切販売されていないとまで断言してもいいくらい、光沢のある床材は、現在ほとんど使用されません。(※実際にはゼロではありませんが、ゼロだと言い切ってしまえるくらい、光沢のある床は使われなくなりました。)
これは、いいか悪いかという話ではなく、トレンドです。あえて光沢のない床材を採用されている建築物の床に、光沢こそすべて、と光沢を上げることに情熱をかけている方の姿を見ていると、果たしてこの業界はこれでいいのだろうかと、一抹の不安を覚えざるを得ません。私が昔に習った記憶でお話すると、ビルメンテナンス業務の目的は、「建築物の衛生的環境の確保と安全な環境を確保して快適な空間を創り出し、人の生命・健康を守ること。また建築物の価値の確保や長持ちをさせることにより、財産・資産を守ること」。一言で言えば、「健康と財産を守る」ことが目的であったはずで、床をピカピカにすることが目的ではなかったはず。私が出会ってきた光沢至上主義の方たちは、手段を目的化しているのかもしれません。昔のようにピカピカな床がよいもの、高級なものとされていた時代は、ピカピカにすることで財産価値を上げていたのかもしれませんが、時代が変わってピカピカ=古臭い、チープに見える、などと価値観が変わってくると、ピカピカにすることで財産価値を損ねるリスクが生じてきます。最悪のシナリオは、お客さんの立場から考えると、お金を払って財産価値が下がる、といった不思議な現象になりかねません。あ、話がちょっと横道に逸れました。
今回の実技セミナー終了後のアンケートには、4名の方から5段階の最高評価「大変満足した」をいただき、残る1名の方からも次に高い評価「満足した」と、みなさんから非常に高い評価をいただきました。ご参加いただいたみなさんからの声を、一部紹介したいと思います。
「すごくわかりやすい説明でした。参加してよかったです。」
「すべての工程を理解出来、参加してよかったです。」
「2日間のセミナーでしたが、講義と実技が適度に設定されていたので、よく理解できました。」
「実際に機材を使用して体験できるセミナーであること、説明や質問への回答が丁寧でよかった。」
月刊ビルクリーニングを発行する株式会社クリーンシステム科学研究所の比地岡さまとは、ぜひ年に数回、今後もやっていきたいですね、という話になりました。まだ次回の日時の予定は決まってはいませんが、興味のある方はぜひお問い合わせください。次回予定を優先的にご案内させていただきたいと思います。弊社では、本セミナーを機に、フローリングへの見識を深める方がひとりでも多く市場に現れ、よりフローリング市場が活性化することを目的としていますので、初心者や競合する方の参加でも構いません。
また、今年の夏頃を目処に、フローリングリノベーションのノウハウを活かし、リノリウムやラバーフロア、PVCタイルタイル等のリノベーションセミナーも開催する予定でいますので、ぜひこちらも心に留め置いていただけると幸いです。
以上、長くなりましたが、実技セミナーの報告でした。